一橙提げて暗夜を行く

脳内から放出したいことをそのままに。

フィンランドで今月から2000人を対象にベーシックインカムを試験的に導入する試みが始まった。
対象者には収入や資産、雇用状況にかかわらず、毎月一律560ユーロ(約6万8000円)が支給される。この試みは2年間実施されるという。
ベーシックインカムを試験導入、2千人対象 フィンランド(CNN)

最終的に否決されたものの、スイスではベーシックインカムの導入の是非を問う国民投票が昨年行われたり、オランダで昨年から実験が行われたりと、ここ最近急に動きがでてきた。
個人的には、ベーシックインカムとか負の所得税は理論上の話で現実感がなかったが、実際に導入する国が出てくるのは時間の問題になってきたように思える。

下記で、7年前にブログに書いたベーシックインカムと負の所得税に関する記事をサルベージしたので、備忘記録として残しておく。続きを読む

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おそらく、「正法眼蔵随聞記」「論語」「新約聖書」の三冊がトップスリーだと思う。
何度も読んでいるので肩ひじ張って通読するといった読み方はしない。トイレのお供だったり、就寝前に一節だけパラパラと読んだりと、気軽な気持ちで手に取っている。

これらは和洋中を代表する古典中の古典で、それぞれ(日本)仏教、キリスト教、儒教の基本的かつ重要な教えが説かれたものだが(正法眼蔵随聞記はちょっと立ち位置が違うが)、共通する内容が多いことが面白い。人間の生態や感情というものは時代や地域を問わないようだ。

これらの本が私を惹きつけるのは、何より内容の面白さや生き方のヒントが濃縮されているところにある。
例えば論語にあるこの言葉はいいなと思う。人生こうありたい。
子の曰わく、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむに如かず。
論語は押しつけがましくないところがいい。孔子の悩み、喜び、考え方などが短い言葉で率直に表現されている。だから心に響く。

一方「正法眼蔵随聞記」で語る道元の言葉は厳しいものが多い。末法の世であるこの時代の人心が乱れていたことの裏返しだろう。切れ味のよい刀のようであり、人間の弱さを見事に見抜いている。
道元は日本が生んだ正真正銘の大天才だ。正法眼蔵の時間論はハイデガーやベルグソンの時間哲学に700年も先んじている。道元が30歳かそこらでこの大哲学を著し始めているという事実には驚いてしまう。
そんな天才が正法眼蔵随聞記でこんなことを言っている。
広く学び、博く書物を読むことは到底できるものではない。すべて思い切ってやめるがよい。ただ一つの事について、心得や、秘訣を習い、先輩の修行のあとをもよく調べて、一つの行に専心努力し、人の師匠ぶったり、先輩顔をしないことである。
天才でもこうだ。
では、能力が劣る私のような人はどうしたらいいのか。
ただ一つの事を専一に行うことさえ、生まれつき力の劣った者にはできはしない。

切れ味抜群!

今保有している金融資産は預貯金以外では次のとおり。
・日本株 三銘柄
・外国株 二銘柄
・インデックスファンド 四本

日本株は優待目的で少額投資しているもの。外国株についてはかなり長期で保有しているため、べらぼうに値上がりして取扱いに困り事実上塩漬けになっているものだ。個別株の売買はこの数年、優待目的での少額買付を除けば、何もやっていない。
数年前までは内外の個別株売買をメインに資産運用していた。現在では、内外株式及び債券をインデックスファンドで毎月定額買い付けている行為が唯一の投資活動である。
個別株投資は自己判断で自分の好きな会社に投資する。ここにロマンがありスリルがあり、かつ面白さがあった。

資産運用のスタイルが変わった理由は、仕事を優先したため。仕事上の立場が重くなり勉強に割く時間が増えたことが最も大きな要因だ。インターネットも調べ物をする程度でしか利用しないくらい、どっぷり仕事に邁進していた。また、休日もできるだけ家庭を優先したかった。結果として投資先の分析及び売買時期の検討に割く時間はなくなった。年末年始にまとまった休暇が取れたので、久々に更新しようと思った旧ブログ(投資十八番)はドメインが消滅していたし、ツイッターも約三年ぶりに開いた次第だ。

これまでの投資活動により得た蓄積で金銭的な不安からある程度自由になり、余裕を持って仕事にチャレンジできる。結果的に運が良かったとも言えるが、若いうちから投資を勉強できたこと自体が貴重な財産となった。

仕事や家庭だけでなく、これからは趣味にもより時間とお金を使っていきたい。
投資の「うまみ」を知っているため、これを止めるという選択肢はなく、手間暇かけずに運用する方法を模索した。その結果が上述のとおりである。

ロマンやスリルはもう投資では求めない。

鬼十則
社員の過労死を受けて、電通は社員手帳に載せてきた社員の心得「鬼十則」を、2017年版から掲載しないそうだ。鬼十則は、電通4代目社長の故吉田秀雄氏が昭和26年7月に自らが実践する仕事に対する心構えをとりまとめ、社員に示したもの。
今回の不幸な事件が起こる前にも、「鬼十則」は有名なのでたびたび見聞きしていたが、昭和の遺物として葬送されることとなった、このいわゆる「名言」を今一度確認してみたいなと思った。
  1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
  2. 仕事とは、先手々と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
  3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
  4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
  5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
  6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
  7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
  8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。
  9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
  10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

一読した素直な個人的感想としては、いくつかは合点するものがある一方で納得できないものもある。例えば「仕事とは、先手々と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない」や「計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる」はどのような仕事にも通じるセオリーだと思う。
一方、「大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする」はどうだろう。私は小さな仕事をおろそかにする人間をあまり信用できない。地味な努力の積み重ねの上に築いた経験値を持ってないと大きな仕事はできない。それにホームラン至上主義が浸透した組織が健全に機能するとは思えない。

その他の文言についても合点できるもの、納得できないものがあるが、もう触れない。「鬼十則」というものが吉田秀雄という一人の個人の考え方である以上、いろいろな感想があるのは当然だ。働き方は結局自分で四苦八苦しながら会得していくものだと思う。「鬼十則」も、誰かからの押し売りではなく、吉田秀雄氏自身が苦労して会得した体験をもとにしている。問題は、こうした個人的な信念を社員に押し付ける姿勢だと思う。昔はともかく、今では時代遅れの産物でしかない。

【参考】
吉田秀雄と鬼十則(公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団)
鬼十則(昭和26年制定)(同上)

ニュースで国会議員の資産公開が話題になっていた。
女性参院議員の資産トップは「SPEED」の今井絵理子氏 昨年当選121人、平均は2990万円
平成28年7月の参院選で当選した議員121人の資産報告書が4日、国会議員資産公開法に基づき公開された。集計では、株式を除く預貯金などの金融資産と土地、建物を合わせた資産の平均額は2990万円となった。前回(26年1月公開)の3770万円から20・7%減となった。首位は、法律相談サイトなどを手掛ける「弁護士ドットコム」社長で初当選した元栄太一郎氏(自民党)で、14億3594万円に上った。
かつて、所得税高額納税者について所得額を公開する制度が存在したが、今では廃止された。ただし、議員については資産等の公開制度が今でも存在する。目的は、「国会議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下におくため、国会議員の資産等を公開する措置を講ずること等により、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的とする」ためだそうだ。これは国会議員の資産公開等を定めた「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律(以下「法律」とする)」の第1条に規定されている。

では、公開される国会議員の「資産」とは一体何なのか。
法律の第2条「資産等報告書等の提出」で報告対象資産と報告内容が規定されており、それをまとめると下表のとおりとなる。(ポイントとなる部分に下線を付している)
資産の種類 公開内容 備考
土地 所在、面積及び固定資産税の課税標準額
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積等
建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額
預金及び貯金 預金及び貯金の額 当座預金及び普通預金を除く
有価証券 種類及び種類ごとの額面金額の総額 株式については株式の銘柄及び株数
自動車、船舶、航空機及び美術工芸品 種類及び数量 取得価額が百万円を超えるものに限る
ゴルフ場の利用に関する権利 ゴルフ場の名称 譲渡することができるものに限る
貸付金 貸付金の額 親族に対するものを除く
借入金 借入金の額 親族に対するものを除く

まず、土地と建物の評価額は時価ではなく「固定資産税の課税標準額」とある。一般的に固定資産税の課税標準額は実勢価額(時価)の5割~7割程度とされている。
また、預金については普通預金が報告対象から除外されており、定期預金等がなければ報告上の預金額はゼロとなる。
有価証券にいたっては、例えば株式を所有していたとしても、報告するのは「株式の銘柄及び株数」のみであり、取得時期不明のため時価は全く不明である(すなわち、法律上の評価額はゼロ)。
簿記会計学の基本を知っていれば、この法律でいう「資産」が実態とかけ離れていることがすぐに理解できると思う。

法律上、報告内容の内容を証明する資料の提出は不要であり、虚偽報告の罰則もない。
国会議員の資産公開は意義があるものだし無くしてはならないものだが、現状では抜け穴が多くて残念な法制度となっている。

【参考】
政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律
国会議員の資産等の公開に関する規程

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