ニュースで国会議員の資産公開が話題になっていた。
女性参院議員の資産トップは「SPEED」の今井絵理子氏 昨年当選121人、平均は2990万円
平成28年7月の参院選で当選した議員121人の資産報告書が4日、国会議員資産公開法に基づき公開された。集計では、株式を除く預貯金などの金融資産と土地、建物を合わせた資産の平均額は2990万円となった。前回(26年1月公開)の3770万円から20・7%減となった。首位は、法律相談サイトなどを手掛ける「弁護士ドットコム」社長で初当選した元栄太一郎氏(自民党)で、14億3594万円に上った。
かつて、所得税高額納税者について所得額を公開する制度が存在したが、今では廃止された。ただし、議員については資産等の公開制度が今でも存在する。目的は、「国会議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下におくため、国会議員の資産等を公開する措置を講ずること等により、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的とする」ためだそうだ。これは国会議員の資産公開等を定めた「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律(以下「法律」とする)」の第1条に規定されている。

では、公開される国会議員の「資産」とは一体何なのか。
法律の第2条「資産等報告書等の提出」で報告対象資産と報告内容が規定されており、それをまとめると下表のとおりとなる。(ポイントとなる部分に下線を付している)
資産の種類 公開内容 備考
土地 所在、面積及び固定資産税の課税標準額
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積等
建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額
預金及び貯金 預金及び貯金の額 当座預金及び普通預金を除く
有価証券 種類及び種類ごとの額面金額の総額 株式については株式の銘柄及び株数
自動車、船舶、航空機及び美術工芸品 種類及び数量 取得価額が百万円を超えるものに限る
ゴルフ場の利用に関する権利 ゴルフ場の名称 譲渡することができるものに限る
貸付金 貸付金の額 親族に対するものを除く
借入金 借入金の額 親族に対するものを除く

まず、土地と建物の評価額は時価ではなく「固定資産税の課税標準額」とある。一般的に固定資産税の課税標準額は実勢価額(時価)の5割~7割程度とされている。
また、預金については普通預金が報告対象から除外されており、定期預金等がなければ報告上の預金額はゼロとなる。
有価証券にいたっては、例えば株式を所有していたとしても、報告するのは「株式の銘柄及び株数」のみであり、取得時期不明のため時価は全く不明である(すなわち、法律上の評価額はゼロ)。
簿記会計学の基本を知っていれば、この法律でいう「資産」が実態とかけ離れていることがすぐに理解できると思う。

法律上、報告内容の内容を証明する資料の提出は不要であり、虚偽報告の罰則もない。
国会議員の資産公開は意義があるものだし無くしてはならないものだが、現状では抜け穴が多くて残念な法制度となっている。

【参考】
政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律
国会議員の資産等の公開に関する規程