先日、電通の鬼十則に関する記事を書いたが、米国にも似たようなものがあったことを思い出した。
Phineas Taylor Barnum(P・T・バーナム)という人物は19世紀に活躍したアメリカの興行師だが、自らの経験を基にビジネスで成功するための10のルールを著している。約130年前の1885年に書かれたものだが、今にも通じる面白いことが書かれている。
バーナムについてはWikipedia(日本語)を参照。
下記は「Barnum's Rules For Success In Business.」を抜粋して翻訳したもの。

1:自分の性格に合ったビジネスを選ぶ
人によっては機械に強い人もいれば一切だめだという人もいる。仕事には向き不向きがあるのだ。ディック・ホームスパンがかつて言ったように「人間がみな同じように考える生き物ではなくてよかった。そうではなかったら、みな僕の彼女を追いかけ回しているだろう。」
私は商人としては絶対に成功していなかっただろう。何度もやったがだめだった。私は山師のような性分なので、毎月決まった給料をもらう生活は耐えられなかった。当然、私とは正反対に固定給じゃなければ嫌だと言う人も多くいることだろう。

2:約束は必ず守る
一度約束したら直ちに実行すること。ビジネスの世界では、約束を守る人は非常に重宝される。このルールに従ってさえいれば、困った時には必ず周囲が助けてくれると思ってよい。

3:何にせよ、一生懸命にやる
必要とあれば早朝出勤してでも残業してでも季節外れだろうが何だろうが、やるべきことはやることだ。今できることは今やるべきだ。アメリカの古い格言に「何事にせよ、やる価値があることは、きちんとやるべきだ。(Whatever is worth doing at all, is worth doing well)」とあるが、まさに的を得ている。周りの人が中途半端な仕事しかしないのに、自分が徹底的に仕事を行う事で成功した人は少なくない。ビジネスで成功するには強い野心とエネルギーと努力が必要不可欠だ。

4:適正飲酒に心がける
酔っ払っていては合理的な計画を立て、冷静にそれを実行するのは不可能だ。どんなに優秀な人でも、酔っぱらっていたらビジネスの成功はおぼつかない。人と飲み歩いている間に失われるビジネスチャンスがどれほど多いことか。酔っ払って愚かな取引をしてしまう人がどれだけ多いことか。飲酒を好むビジネスマンは数多いが、飲みすぎではビジネスでの成功はおぼつかない。

5:理想を追い求めすぎない
希望を持つことは重要だが理想を追いすぎて失敗する人は案外多い。バラ色にみえるプロジェクトを追って次々に仕事を変えるのは問題だ。「捕らぬたぬきの皮算用」である。

6:労力をむだに分散しない
時間と能力を一つのビジネスに集中すること。そして、その事業が成功するか、あるいは失敗することが明白になるまで別の事業に目移りしてはならない。何事も一つの事に集中して努力しなければ成就しないものだ。多くのプロジェクトを抱えていると集中力が分散するため、一つの事業をやっていれば見逃さなかったようなチャンスを見逃す事になりかねない。

7:優秀なスタッフを雇う
幸いな事に、私は常に誠実で優れたスタッフを雇う事ができた。このことはいくら感謝してもしきれない。自分の職務を十分に遂行できない者は、それがどのような理由であってもすぐに首にするべきだ。改善を待つのは無駄である。その人にはきっと、もっと他に向いた仕事があるはずだ。

8:広告を行う
どんな仕事でも社会の支持が必要ならば注目を集めるようにPRすべきだ。私がビジネスで成功したのはPRのお陰である。PRが不要な職業などはないだろう。広告活動を行ったものの、うまくいかなかったという人も中にはいる。こういう人たちは、義務的に、また中途半端なPRしか行わなかったからうまくいかなかったのだ。中途半端なPRは費用がかかるだけで何の利益も生み出さない。費用を惜しむべきではない。
広告活動を行う資金的余裕がないという人もいるがこれは逆だ。広告活動を行わない余裕などないのだ。我が国では誰もが新聞を読む。新聞は一般大衆に向かってPRする。顧客を発掘するのに最も安上がりで最も効果的だ。自分が寝たり食事したり客と話をしている間に、広告は何千人もの人々に読まれているのだ。

9:浪費を避ける
収入の範囲内で、かつ餓死しないように生活すること。将来にどのような逆境が訪れないとも言い切れない。そんな時の備えがなくては経済的自立など夢のまた夢というものだ。(略)
急に収入が増える事は試練でもある。古い諺にあるように、急に入った収入は出て行くのも速い(Easy come, easy go)。収入が増えると、自分の生活水準を誇示しようと贅沢品を買いたくなる。そんなことをしているうちに出費が収入を上回るようになるのだが、他人の目を気にするあまり出費を削ることができない。生活水準を抑えるにはプライドを飲み込まなければならない。

10:他人に依存しない
自分の成功は自分でしか築きあげることはできない。周囲の人たちに頼りすぎない事である。

バーナムは文末で「上記ルールを守るとともに、自らの経験から自分なりのルールを作り上げればビジネスでの成功は決して遠くはない。」と締めくくっている。
バーナムの10箇条はシンプルだが重要なポイントを抑えていると思う。ビジネスで大切なことは時代や国を問わないことがよくわかる。