実家に帰省したときに、大学生のいとこから就職相談のようなものを受けた。
今一回生なので切羽詰まった話ではないが、就職活動のやり方とか何を勉強すればいいのか、とかそんな話だ。
親戚や近い人には、とりあえず「そこそこ歴史のある大企業を目指せば」と言っている。中小企業と比べると給与もそこそこ高いし福利厚生も充実しているので、「衣食足りる」生活はまず保障される。
夢も希望もないと言えばそれまでだが、「中小企業でスキルを磨け」とか「起業してみれば」とか「会社は2年で辞めていい」などと無責任なことは言えない。
私のまわりにも転職を繰り返す人がいるが、転職しても待遇は良くても現状維持でだいたい悪くなっている。一度辞めてしまうとこうした「負のスパイラル」に嵌ってしまう可能性が高くなる。少なくとも、日本においては。

下図は国税庁「民間給与実態統計調査結果」から作成した事業所別の平均給与。
規模別平均給与
H27民間給与実態統計調査(男女合計)
規模が大きい会社ほど平均給与は高くなる。

また、下図は勤続年数別の平均給与。
勤続年数給与
勤続年数別の平均給与(男女別)
勤続年数が長くなるほど平均給与が高くなる。

ここから、中小企業に入って転勤を繰り返すというのはあまり得策でないことがわかる。はじめから大企業に入って長く勤め上げるという旧来型の就労モデルが大多数の凡人にとってベターな選択ということになる。

厚労省公表資料「新規学卒者の離職状況」によると、大企業より、中小企業で働く若者の方が圧倒的に離職率が高いことが分かっている。30人未満の小さな会社に就職した若者の約5割が3年以内で去っている(1000人以上の大企業に就職した若者の同割合は2割強)。
3年離職率
数年で辞めた人を高待遇で迎え入れる会社はほとんどないと考えていい。短い期間で得られるスキルなんてたかが知れているだろうから、再就職に当たってプラスには働かない。面接官はこうした人を人格的に何か問題を抱えた「事故物件」ではないかと勘ぐってしまう。

『やりたいことを仕事にせよ』とか『小さい会社に就職してスキルを磨け』という生き様は万人には勧められない。
個人的には『凡人は大企業を目指せ』と言いたい。大企業だとスキルが身につかず潰しがきかないとか、日本の大企業に未来があるのかという意見をいう人のほとんどは、かつて大企業を長く勤めてスキルを磨いた人や、一部のホンモノの天才だったりする。こうした言葉を凡人は真に受けない方がいい。

話はちょっと違うが、東進ハイスクールの林修氏が「東大卒の林修が断言「仕事に学歴は関係ない」」と言っているが、東大卒が言っている時点で説得力がないことが分かっていない。現実問題として仕事に学歴は関係あるし、大企業の方が中小企業よりはるかに待遇が良い。これが現実だ。耳障りのよい「天才」の言葉は眉に唾をつけて聞こう。