金融広報中央委員会(事務局 日本銀行)が高校生を対象に金融や経済をテーマに募集した論文で特選を取った五つを何げなく読んでいたところ、その中の一つ「深刻化するシングルマザーの貧困」と題する論文が目に留まった。日本銀行といえばお金を取り仕切る総本山のようなところで、そうであればこそ金融や経済をテーマとした論文を募集しているわけだ。
日銀とシングルマザーの貧困という組み合わせの妙に何となく興味をそそられた。
論文はこのような問題提起からはじまる。
現代、シングルマザーは年々増加傾向にある。その中の 80 パーセントは養育費をもらっていない。さらに、日本の母子家庭はワーキングプアであり、シングルマザーのうち、正規雇用は約4割と半数以下である。残りの約6割は生活が苦しい場合が多い。これが金銭の貧困である。

論文ではその根拠(ソース)が掲載されていなかったが、総務省の統計によると、シングルマザーは年々増加傾向にありその4割弱が非正規雇用となっている。
また、厚生労働省「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」によると、養育費をもらい続けているのは全体のわずか19.7%しかいない。未婚のシングルマザーも急増しており、金銭的な貧困問題は現実問題として存在している。論文で指摘している問題は現状を適切に捉えている。

著者は現状や問題点を指摘するだけでなく、解決のための提案を行っている。
例えば、島根県浜田市は県外から移住する人向けに最大約 400 万円の助成がある。それには条件があるが、その条件こそ、シングルマザーのワーキングプア解消になる。その条件とは、市内の介護事業所で就労研修を受けることだ。これは非常に画期的な制度である。
島根県浜田市で実施する定住支援制度を挙げ、シングルマザーの貧困対策として「画期的な制度である」と指摘した上で、安易にこれを最上の解決策とするのではなく、子どもの転校時期への配慮を求め、目的が過疎対策に偏重する懸念を示すという慎重さもある。

この論文を書いた高校三年の女性は自身が母子家庭に育ち、働きずめの母は病気で亡くなっている。
必要なものは買ってもらえ、習い事もしており、それほど貧困さを感じていなかったが、母の死後に実際は生活がぎりぎりで借金もあったことを知ったそうだ。
論文の最後はこう締めくくられていた。
現代の人々は見た目だけでは貧困だとわからない。それは、シングルマザーの子どもにもわからない場合もある。だからこそ危険なのだ。もし、私の住んでいる地域にこの制度があったのなら、私の母はもう少し楽に私のことを育てられただろう。そして、母の笑顔ももう少しこの世に存在したのかもしれない。
文字数の制限がある中で、よくまとめていると思う。実体験をもとに書いているので胸を打つし説得力があった。

《参考》
深刻化するシングルマザーの貧困